Amazonで販売を始めてみたけど、思っていた金額が振り込まれていない。でも、その理由がわからない。
そんな経験をしているセラーは多いと思います。もしかすると、それは「引当金」が原因かもしれません。
Amazonの引当金は2016年8月15日以降に作成した全てのアカウントに適用されています。
つまり、最近Amazon物販を始めたセラーは漏れなく引当金対象アカウントということになります。
ちなみに私は10年以上前にアカウントを作成したので引当金がないアカウントです。
ということで、今回はAmazonの引当金について、いまいち理解していないという人や、もう少し詳しく理解したいという人に向けてできるだけ詳しく引当金について解説します。
Amazon物販で失敗しないためには理解しておくべき知識なので、引当金がよくわかっていないという人は、必ず確認をしておきましょう。
Amazonの引当金とは?|2016年8月以降のアカウントは全員対象
まずはAmazonの引当金の概要を簡単に説明します。
- 引当金とは?
- 引当金によるデメリット
それぞれ解説します。
引当金とは?
Amazonの引当金とは、お客様からの返品申請や払い戻し(チャージバック)に備えて、売り上げの一部を自動的にAmazonが留保する仕組みのことです。
ちなみに基本の引当金は売上の50%です。
例えば1万円の商品なら、そこからAmazonのカテゴリ手数料がおおよそ15%引かれて、FBA手数料が500円程度引かれたとすれば8000円が入金されるはずです。
そしてここから、引当金として50%である4000円が留保されます。
この引当金は2016年8月15日以降に作成された出品アカウントにはすべて適用されています。
つまり、今からAmazonの出品アカウント作成した場合は、必ず引当金が適用されることとなります。
引当金によるデメリット
引当金の何が悪いの?
そう思う人もいるかもしれません。結論からお伝えすると、キャッシュフローに影響が出る可能性があります。
本来14日間隔で入金されるはずの売上金の入金がさらに14日遅れる可能性があるということですからね。
ただし、引当金が設定されているアカウントに関しては「決済をリクエスト」が可能です。
この決済をリクエスト」を活用すれば、本来の入金サイクルよりも早く売上金を受け取れます。
デメリットとしてキャッシュフローが挙げられますが、「決済をリクエスト」の活用方法間違えなければ、通常よりもキッシュが良くなる可能性があるということです。
「決済をリクエスト」の活用方法については、後ほど詳しく解説します。
引当金で留保される割合と振り込まれるタイミングについて
ここからは引当金によって留保される売上金の割合と振り込まれるタイミングについて解説します。
- 基本は売上金の50%
- お客様に商品が届いてから7日間
- 引当金振込までのイメージはこちら
それぞれ解説します。
基本は売上金の50%
引当金に該当するのは基本的に50%です。
ただし、アカウントによってはもう少し少ない場合もあるようです。
もしあなたが今からAmazonを始めるのであれば、まずは50%が適用されると理解しておきましょう。
お客様に商品が届いてから7日間
引当金が留保される期間は、お客様に商品が届いてから7日間です。
商品が売れてから7日間ではなく、お客様の手元に届いてから7日間というところがポイントですね。
数日かもしれませんが大きな差になるので、留保機関がいつから7日間かという点もしっかりと頭に入れておいてください。
引当金振込までのイメージはこちら
少しイメージしにくいと思うので、簡単な引当金に振り込みまでのイメージを紹介します。
まずはAmazonの引き金ルールを確認しましょう。
引当金の割合 | 売上の50% |
留保期間 | 商品到着から7日間 |
入金タイミング | 留保期間終了後、次の締め日の売上金と合算 |
締め日 | アカウント登録日を基準に14日ごと |
このルールが大前提です。次に、引当金の流れを具体的な例とともに確認をしていきましょう。
アカウント登録日 | 2025年3月1日 |
初回締め日 | 3月15日 |
2回目締め日 | 3月29日 |
上記の例をもとに売上金と引当金の動きを見ていきましょう。
- 初回締め日(3月15日)の例
- 3月2日:10万円の商品販売
- 3月5日:商品配達完了
- 3月12日まで:5万円が引当金として留保
- 3月15日:5万円入金
- 2回目締め日(3月29日)の例
- 3月17日:20万円の商品販売
- 3月23日:商品配達完了
- 3月30日まで:10万円が引当金として留保
- 3月29日:10万円入金+3月2日に売れた商品の引当金残り5万円入金
- 4月12日:残り10万円入金
このようなお金の動きになります。締め日のタイミングや商品の配送状況によって、引当金の振り込みタイミングが変わってくるため、セラーとしては常にこの流れを意識しておく必要があります。
特に新規セラーの場合は、キャッシュフローの管理が重要なので、引当金のサイクルを十分に理解した上で販売戦略を立てることが大切です。
Amazonの引当金の振り込みを早める2つの方法
ここまでを読んで、
引き当ての振り込み早くする方法ってないの?
と思う人もいると思います。結論からお伝えすると、2つの方法があるので紹介します。
- みずほ銀行に設定する
- 「決済をリクエスト」を活用する
それぞれ解説します。
みずほ銀行に設定する
引当金というよりは、Amazonの売上金全体の入金速度を上げる方法です。実は、Amazonの売上金は、銀行によって入金スピードが異なります。
主な銀行の入金スピード一覧はこちら主な銀行の入金スピード一覧はこちら。
銀行名 | 入金までの所要日数 |
---|---|
みずほ銀行 | 振込手続完了から1日程度 |
PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行) | 振込手続完了から2~3日程度 |
三井住友銀行 | 振込手続完了から2~3日程度 |
楽天銀行 | 振込手続完了から3~4日程度 |
三菱UFJ銀行 | 振込手続完了から4日程度 |
ゆうちょ銀行 | 振込手続完了から5日程度 |
つまり、できるだけ早く売上金を受け取りたいのであればみずほ銀行がおすすめです。
逆に、三菱UFJ銀行やゆうちょ銀行などは2〜4日程度遅くなる可能性があります。キャッシュフローを気にするのであれば、売上金受け取りに使う銀行口座には注意したほうがいいです。
「決済をリクエスト」を活用する
引当金が適用されているアカウントでは「決済をリクエスト」ができるように設定されています。
通常、Amazonの売上金の入金はアカウント開設日を基準として14日周期です。
ただし、新規に開設したアカウントは引当金が設定されている代わりに、売上金の振り込み申請を毎日行うことができます。
「決済をリクエスト」を手動で行う方法はこちら。
- セラーセントラル・ホーム画面右上の「決済情報」内の「支払いの概要を表示」をクリックする
- 「決済をリクエスト」をクリックする
- 「今すぐ振り込む」をクリックする
売上金が留保される期間はお客様に商品が届いてから7日間です。そして留保が解除されてから振込まで、おおよそ2〜5日程度。
つまり、お客様に商品が届いてから「留保される7日間 + 振り込みまでの2〜5営業日 = 最短9日間」で、売上金が口座に入金されるということです。
毎日「決済をリクエスト」を行えば、14日周期で振り込まれる通常の入金ペースよりも早く売上金を口座に受け取ることができます。ちなみに、「決済をリクエスト」は毎日依頼が可能です。もちろん手数料も発生しません。
ただし、「決済をリクエスト」ができるのは「24時間に1回だけ」なので、そこだけ注意しましょう。
引当金を解除する方法|真面目に運営する
次にAmazonの引当金を解除する方法を解説しますが、結論からお伝えすると、引当金を解除する明確な基準は発表されていません。
また必ず解除されるというわけでもありません。ただ、1つだけあなたができることがあるとすれば「真面目に運営すること」。
真面目に運営するというのは、セラーパフォーマンスを健全に保つということです。特に難しい事はないと思います。やるべきこと、コツコツとやり続けるだけでいいです。
例えば、
- ちゃんとした商品を販売する
- お客様から質問があればすぐに回答する
- 出荷遅延率を下げる
- 低評価を貰わないようにする
- 販売実績を積む
このようにAmazonで販売するなら、Amazonに気に入られるセラーを目指していきましょう。
そうすれば、引当金の割合が下げられたら、解除されたりする可能性が高くなります。
引当金によるキャッシュフロー悪化への対処方法
最後に引当金によって生じるキャッシュフロー化への対処方法を3つ紹介します。
- 引当金サイクルを理解した仕入れプラン
- 引当金をこまめに「決済をリクエスト」をする
- 融資を受けてキャッシュに余裕を持たせる
それぞれ解説します。
引当金サイクルを理解した仕入れプラン
一つ目は引当金サイクルを理解した仕入れプランを立てることです。引当金の入金の流れを理解できたなら、入金サイクルがわかったはずです。
例えば、引当金が解除されるまでの期間を見越して、その間はリサーチだけをして、入金のタイミングに合わせて仕入れを行う。そうすることで、キャッシュフローを健全に保ち仕入れ資金が足りないという事態を避けることができます。
クレジットカードの締日なども考えないといけないので面倒ですが、ビジネスを進めていくためにはこのような資金管理がとても重要です。
引当金をこまめに「決済をリクエスト」を活用する
この記事内でも解説した通り「決済をリクエスト」を活用すれば、通常の出金サイクル早く売上金受け取ることができます。
面倒ではあるかもしれませんが、こまめに「決済をリクエスト」をすることで、キャッシュフローを健全に保つことができるはずです。
毎日、もしくは2〜3日に一回程度、決済をリクエスト」しておけばキャッシュフローが安定します。
融資を受けてキャッシュに余裕を持たせる
これは引当金が適用されてるアカウントに限らずですが、Amazon物販で長く生き続けるためにはキャッシュの余裕がかなり重要です。
キャッシュが100,000円しかない人と3,000,000円ある人では仕入れに対する考え方や余裕が全く違います。
何かがあったときにも、キャッシュに余裕があれば難なく乗り越えられますが、ギリギリの状態だと乗り越えられない可能性があります。
そういった状況に陥らないためにも、私は融資を受けることを強く推奨しています。
なぜ融資を受けることをおすすめするかというと、Amazon物販の性質上、基本的にお金が減らないからです。
もう少しわかりやすく解説します。
Amazon物販では大きな固定費が発生しない
Amazon物販では大きな固定費が発生しません。大きな固定費とは、テナント料や人件費などのことです。
お金を使うとすれば、商品の仕入れだけです。そして、仕入れた商品を基本的に利益商品になるはずですよね?
なぜなら仕入れ前にKeepaなどのツールで売れ行きや利益計算をしているから。
つまり、お金を借りたとしてもAmazonで仕入れに使うだけであれば減ることがないんです。
つまりAmazon物販に対して融資を受けるということは、ほぼノーリスクで手元の資金を増やせるということ。
正しい運用ができれば金利以上の利益を余裕で稼げる
国民政策金融公庫など金利が安いところから融資を受けることができれば、金利を上回る利益を出すことは十分可能です。
国民政策金融公庫の場合、融資制度にもよりますが1%や2%で借りられます。例えば年利2%で100万円を借りて、5年間で返済するとすれば利息はたったの約5万円です。
100万円あれば5万円を稼ぐのなんて余裕なので、借りない理由がないんですよね。
ただし、銀行口座のお金が増えるとお金持ちになったと錯覚して、金銭感覚が麻痺して使い込んでしまう人も一定数いるので注意が必要です。
融資を受ける時は、必ずAmazon物販専用口座で管理しプライベートとは完全に分けるようにしておきましょう。
【まとめ】Amazon引当金を理解してキャッシュフローを健全に保とう
いかがでしたか?キャッシュフローについて理解できましたか?
ということで、今回はAmazonの引当金についてできるだけ詳しく解説しました。
もう一度簡単にまとめます。
- 引当金とは、Amazonが売上金の一部を一定期間留保する制度
- 2016年に導入され、新規セラーや高リスクセラーに適用される
- 引当金の割合は売上の50%で、セラーによって異なる
- 引当金の目的は、返品や払い戻しに対応するため
- 引当金の確認方法:セラーセントラルの「レポート」→「支払い」→「取引概要」
- 引当金の解除方法に明確な基準はないが、真面目に運営し、セラーパフォーマンスを健全に保つことが重要
- キャッシュフロー悪化への対処方法は引当金サイクルを理解した仕入れプランを立てること、こまめに「決済をリクエスト」を行うこと、融資を受けてキャッシュに余裕を持たせる
これらの点を理解し、適切に対応することで、Amazonでの販売をより効果的に管理できます。
引当金が適用されているアカウントの場合、可能であれば毎日もしくは2〜3日に一回は「決済をリクエスト」を行い売上金を早く回収しましょう。
「決済をリクエスト」する方法はこちら。
- セラーセントラル・ホーム画面右上の「決済情報」内の「支払いの概要を表示」をクリックする
- 「決済をリクエスト」をクリックする
- 「今すぐ振り込む」をクリックする
Amazon物販でこれから稼いでいくには引当金の理解がかなり重要です。これを知らずにビジネスを進めてしまうと、キャッシュフローが上手く回らず失敗してしまう可能性があります。
必ずこの記事の内容を理解し、「決済をリクエスト」を活用するようにしましょう。
また、Amazon物販を有利に進めるためにはツールの活用が必須です。Amazon物販歴10年以上の私が厳選した必須ツールをまとめているので、以下の記事も併せて参考にしてみてください。
よくある質問
最後によくある質問をまとめました。
- 引当金はすべてのセラーに適用されますか?
-
いいえ、引当金は主に新規セラーや高リスクと判断されたセラーに適用されます。2016年に導入された制度で、セラーの状況によって適用されるかどうかが決まります。
- 引当金の割合はどのくらいですか?
-
一般的に売上の50%が引当金として留保されますが、セラーによって異なる場合があります。具体的な割合はセラーセントラルで確認できます。
- 引当金はいつ解除されますか?
-
明確な解除基準は公表されていませんが、セラーパフォーマンスを健全に保ち、真面目に運営を続けることで解除される可能性が高くなります。ただし、必ず解除されるわけではありません。
- 引当金によるキャッシュフロー悪化にどう対処すればいいですか?
-
主に3つの方法があります:
- 引当金サイクルを理解した仕入れプランを立てる
- こまめに振込リクエストを行う
- 融資を受けてキャッシュに余裕を持たせる
これらの方法を組み合わせて、キャッシュフローを健全に保つことが重要です。
- 引当金の確認方法を教えてください。
-
セラーセントラルの「レポート」→「支払い」→「取引概要」で確認できます。ここで引当金の適用状況や金額を確認することができます。
- 引当金を早期に出金する方法はありますか?
-
- セラーセントラル・ホーム画面右上の「決済情報」内の「支払いの概要を表示」をクリックする
- 「決済をリクエスト」をクリックする
- 「今すぐ振り込む」をクリックする